<ライダーでしょうか。青年が堰堤に腰掛けて物思いにふけっていました>


 

 絵になる情景に出逢った。

 

 よい情景を描くのに、

 その情景に寄せる想いを語るのに、

 言葉は一切要らない。

 

 一幅の絵のようなこの光景が、静かに、しかし雄弁に語りかけてくれるから。

 

 人それぞれが、この情景に触れて、自ずと自問自答するだろう。

 そしていま、ここで初めて目覚めたかのように思える、

 おのれのこころの内の琴線に触れる何かに、

 おもむろに、そして静かに、内省的に語りかける。

 

 その時、心のうちから自ずとこみ上げて来るであろう、

 仄かで心許ない、だがしかし、熱き想いに、秘めた願望に、

 心の赴くまま素直に応えればいい。

 

 素晴らしい情景と、それに触発された思索は、時に人をロマンチストに変える。