主語ばかりで述語のない夫婦の会話の先にあるもの

 今病院に来ている。 診察を待っていると隣の診療科で男性を呼ぶ声が聞こえわたしの横に座っていた老齢の男性が立ち上がった。男性は杖をついていて診察室のドアを開きながら怒鳴る様に「カバン!」と一言大きな声を出した。すると近くの席に座っていた配偶者とおぼしき女性が立ち上がり、男性が突き出した右腕にぶら下がっていたカバンを無言で受け取った。

 典型的な亭主関白を見た思いがした。

 因みにわたしは亭主淡白である。