安倍晋三総理大臣はいつも質問されたことにはまともに答えない。しかも冗長で、質問されたことなどそっちのけで、自分がしゃべりたいことだけを勝手気ままに答弁する姿勢が、とても見苦しいと思っていたし、とても気になっていた。しかし、勝手気ままと思っていたそのはぐらかし話術が、実はシナリオに基づいた計算された話術である事が分かって来た。野党の質疑内容は前日に分かっているから、どう答弁するかはあらかじめシナリオ化できるので、こういった答弁ができるのだ。安倍総理、現実に質疑から外れたことを言われると、途端にオロオロして「資料にないことをいきなり言われても直ぐは答えられない」と過去に答弁していたからね。
これが加計引きぢゃなかった・・・駆け引きだとしたら、野党は今後もいくつもの隠し球を持って政府・与党に対峙すべきだ。総理や官僚がオロオロする度に政府の信用はなくなっていくだろう。総理の言動を見れば分かるが、国会での発言は証人喚問でもされない限り責任を問われることはない。だとしたら野党は今後大いに「不規則発言」をして政権の欺瞞を暴くべきだ。
話を元に戻す。
昨日病院の待合ロビーで見ていた国会中継の中で共産党の小池晃書記局長が、
「これが今話題の『ご飯論法』ですよ。まったくのすり替えだ」
と安倍晋三総理大臣の答弁を断じていた。
安倍総理が加計学園問題について「一点の曇りもない」と答弁した事への反論であった。
ん?、『ご飯論法』って何???
、って思っていたら今朝、2018年5月29日(火曜日)の東京新聞の第27面の右半分にその答えがあっさりと載っていた。因みに左半分は、神奈川県茅ヶ崎市元町の国道一号線交差点で起きた「90歳4人はね1人死亡」という記事だ。
これは労働問題に詳しい法政大学の上西充子教授がツイッター上で紹介したもので、それに対して「秀逸な表現」などと一気に拡散した論法らしい。
その記事に図式が載っていた。それを下記に記載する。※ 一部はわたしの加筆創作です。
【朝ご飯食べたか?】
☟
【食べていない(パンは食べたけど)】
となるらしい。
この赤字で書いた(パンは食べたけど)部分だけが強調される。どういう事かと言えば、
「パンは食べたけどさあ(お茶碗に盛られた白いお米のご飯は食べてないよ〜ん)」
と言う「朝ご飯は食べたか」という問いに対し、本質をはぐらかし誤魔化す答弁をする訳だ。
つまり、本質的な問いには一切答えずに、朝食はフランスパンに野菜とチーズのサラダだったとか、クロワッサンにコーヒーだとかベラベラしゃべって煙に巻いて、だから結局ご飯は食べていないと、誤魔化し言い包める「レトリック」というか「詭弁論法」だ。
なぜ小池氏が安倍総理の答弁をそう断じたかを、東京新聞の記事を引用転記して説明する。
( )内、加筆しました。一部の記事にも補足の意味で加筆修正しましたがそれは肩書き等のみで記事から逸脱する内容は一切記載していません。では以下を読み進めましょう。
愛媛県が国会に提出した新たな文書には、首相が二〇十五年二月二十五日に加計考太郞理事長と面談した際に「新しい獣医大学の考えはいいね」とコメントしたと書かれていた。小池氏は(これを受けて)「首相と理事長との面談が架空では説明がつかないことが多過ぎる」と指摘した。(因みにこの二月二十五日と、二月二八日の面会記録は『何故か』欠落している)
しかし、首相は、そうした官邸の水面下の動きには(一切)触れず、政府の国家戦略特区ワーキンググループの八田達夫座長が「決定のプロセスには一点の曇りもない」ということを引用していた(のを例に挙げて自身の潔白を主張した)
(これを)「ご飯論法」に当て嵌めれば、朝ご飯の話題中に、昼ご飯の話をするようなものだ。
上記の上西教授が(この日の安倍総理の国会答弁で)「典型的なご飯論法」と見るのが、午後の衆院予算委での立憲民主党の長妻昭政調会長とのやりとりだ。獣医学部新設を目指す「利害関係者」の加計理事長が首相や秘書官と食事をしたり、食事代を支払うことなどは問題ではないかと質すと、
「別に食事代をごちそうして貰いたいから戦略特区で特別にやる、焼き肉をごちそうして貰いたいからそんなことをするって考えられないですよ」と、反論した。
<2018.06.01.23:23>
あのさ、一国の長ともあろう者が、まるで保育園児が保育士さんに生意気言って駄々こねるような言い訳してどうすんの。(贈収賄と倫理問題について問い質されているのに、質疑の主旨を完全に無視して「たかだか食事代ぐらいで戦略特区の選定に影響がある訳がない」と強弁する事により、利害関係者と食事をする事の違法性と倫理の問題をはぐらかし回避している訳だ)これが一国の長とはなんと情けない。※ピンク・黒文字部分U3加筆
(上記)上西氏は、(これに対し)「ご飯論法が注目されたことで、国会質疑の(首相答弁の)何がおかしいのかということを伝えることが出来たと思う。モリカケ問題だけやっている、といった批判があるが、卑怯なのはこうした答弁で国会や国民を愚弄している政府ではないか」と話した。
とある。まさに正鵠を射た意見である。
昨年の二月から今まで、安倍晋三総理大臣は、数限りないこの様なはぐらかし論法を駆使して問題のすり替えをして来た。
それに加え、当日の予算委員会では、麻生太郎財務相は(財務省の)「交渉記録はまた出るかも」と開き直ったような発言をしている。資料がまともに出てこないのがモリカケ問題を長引かせている本質的問題なのに、そしてそれが政府と自民党の言う、「野党の論点は堂々巡りだ」という論拠にもなっているというのに、これほど肝心要の日時の抜けた交渉記録と、黒塗りで何が何だか分からない資料を提出して平然と他人事のように答弁する。正に開いた口が塞がらない大嘘つきの大馬鹿者ばかりである。
つくづく思うのだ。こんなデタラメな答弁しか出来ないのが日本という国の行政府と立法府の長なのか。ひょっとこ財務大臣なのか。そしてそれを擁護する政権与党なのか。
そう思うと実に情けなくなって来る。現実に、たとえ消極的ではあっても、その政権与党を支持する国民が大勢いる。そう思うと、日本人とは不正に目を瞑り、上辺だけ取り繕って襤褸を隠す、つくづく目先のことにしか目がいかない国民性なのだと思う。相も変わらず十年一日、「自分さえ良ければあとはどうでもいい」という、手前勝手な実に情けない国民だなぁと思ってしまう。
日大アメフト部の問題だって、根にあるのは部内の恒常的暴力体質にあったことが明らかになりつつある。それをあの「危険タックル」が起きるまで、現役アメフト部員も含む日大関係者の誰ひとりとして、声を上げて糾弾しなかったからこそ、あんな「事件」が起きてしまったのだ。本質的にあるのは政治の世界と同じだ。権力に逆らわず唯々諾々と従う盲従的な態度、そして生き方が、不正が跋扈する現在(いま)を作り上げてしまった。
自民党は「野党はいつまで同じ事をやっているのか。(追及しても)何も出て来ないではないか。国会の重要法案がこのままでは止まってしまう」という論調で野党を非難する。ならば、野党の求めるモリカケ特別委員会を立ち上げて、常任委員会と切り離せば良いのにそれをしない。この一体どこに膿を出し切る姿勢があるというのだろう。言行不一致の極みである。だが悲しい哉、その論調に同調するバカな国民もいる。
当然ながらまともな国民なら思う。
「膿を出し切る」と宣言した安倍晋三総理大臣は、何故自ら真相究明に動こうとしないのだろう。自らの疑惑を晴らそうとしないのだろう。
自らが招いたモリカケ問題に対して今まで自身何ひとつ具体的な行動を起こしていないことが、この問題を長引かせている第一要因であり問題の根本原因なのである。「国会の審議に任せる」という、あの他人事のような不誠実な態度は一体何なのか。
先日わたしは、ソネブロの或るブロガーの記事に対して「世論調査によれば、80パーセントの人々が疑惑は晴れていないと感じている」とコメントしたところ、「世論調査の信用性には疑問が残るし、そもそも疑惑はないのだから晴れようもない」とコメントを返していました。それは完全に詭弁でしたので勿論わたしは反論しましたが返事はありませんでした。もしそのブロガーの様な「感覚」に「感染」してしまう日本人がいるとしたら、日本という国は本当に救いようがないと思います。
疑惑がいつまで経っても晴れないのは、自ら『膿を出し切る』と言った安倍総理自身が自ら率先してその膿出しと疑惑を晴らすべきなのに、その努力を一切せず『ご飯論法』などを使ってノラリクラリとはぐらかしているからに他ならない。
疚しいことがないというなら、一点の曇りもないというのなら、その言葉通りご飯論法など使わずそれを自らが証明せよ。
特別委員会を招集し、そこで集中審議を行う。そこに昭恵夫人も加計理事長も、中村知事も、今治市長も、藤原審議官も佐川元理財局長その他関係者全員証人喚問すれば良い。それが出来ないなら疑惑は一切晴れない。
<2018.05.30.21:43追記>
本質を隠そうとすればするほど本質は露呈される。しかし、その本質が見えた時、行動を起こさない者は『卑怯』である。もしそんなのがいたら「日本人」辞めて下さい。
わたしは今、
『日本人の良心はなくなった』
と、思っています。
<2018.06.01.11:00追記>
佐川前理財局長等を「嫌疑不十分」として起訴しませんでしたね。はやり日本人の良心はなくなったと考えるのが妥当でしょう。
しかしながら、一部の日本人には辛うじて良心は残っていると見えて、訴えていた大阪の大学教授は『検事審査会』の開催を求めていますから、選出された11名の民間人に良心が残っているとすれば、起訴されるかも知れません。
でもね、大阪の検察はこれまでの間一体何をしていたのだろう。現政権に『忖度』したのだろうか。現政権は検事総長以下検事ひとりひとりの罷免権もありますから権力は絶大です。過去に法務大臣の強権発動もありました。そのことを考えると余り期待は出来ないのかも知れません。
<2018.06.02>
『ご飯論法』の説明が不十分というか分かり難かったので説明を一新しました。この論法の実体は、論点をずらして事実を覆い隠し、自分の都合の良い方向に強引に変えようとしたり、まったく見当違いな返答をすることで真実を見えなくすることを目的とした『はぐらかし論法』です。こんな話術を駆使する輩には誠実さの欠片もありませんね。