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JUSTICE! VOL.2 [U3の独白]

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 5月1日長野自動車道を岡谷JCTに向かって走っている観光バスの車内での出来事。 

 「ねぇねぇU3ほら虹、左の方見て、虹!ほら見えるでしょ虹!」

 わたしはそのとき下を向いてうつらうつらしていたのだが、体を揺り動かされて目を覚まし、うちの奥様に云われるままに左を見上げそこにあるものを発見。コンデジに素早く納めた。それからやおら左腕を持ち上げて腕時計を右手で指し示し、大仰なうちの奥様のお言葉にこう応えた。

 「今は二時じゃないよ。午後四時だよ」

 そして再び何事もなかったかの様に眠りに就いた。その日の天気は気まぐれで、その時はたまたま天気雨だった。

 うちの奥様はこの手の洒落に対する反応が2テンポほど遅れる「天然さん」である。従って奥様がそれを理解し「あーらやだU3ったら」といっている頃にはわたしはとうに惰眠を貪っているのが常なのであった。悪しからず!

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身はたとい(みはたとい)

武蔵の野辺に(むさしののべに)

朽ちぬとも(くちぬとも)

留置かまし(とどめおかまし)

大和魂(やまとだましい)

 松蔭辞世の句である。安政六年(一八五九年)十月二十七日、吉田松陰は江戸市中、伝馬町の刑場で波乱に満ちたその生涯を閉じた。享年三十歳。

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 死を覚悟した松陰が処刑の前々日である二十五日から書き始め、翌二十六日夕に書き上げた遺書とも云うべき「留魂録」の冒頭にこの辞世の句はある。「留魂録」は密かに人に託されて長州に届き、松蔭の遺言通り主だった松下村塾門弟に回覧された。そしてこれを読んだ門弟らが中心になって幕府に反旗を翻し、その事が明治維新に繋がるのである。松蔭が望んだ様にその死は無駄ではなく、辞世の句そのままに、やがて変革の種子が蒔かれ明治維新となってそれは結実したと謂えよう。

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 東日本大震災発生以来日本の全てが変わってしまうのではないかと思っているのはわたしだけだろうか。 原発は安全でクリーンなエネルギーだ(そんな訳はないが)という日本政府の国策は方向転換せざるを得ないばかりか、今や国際的に日本の全ての産業の信頼性と安全性を脅かす存在となってしまった。・・・と思うのは我々庶民だけで、政府と菅直人を支える民主党員とこれまでその国策を推し進めて来た自民党は原発をこれからも推進するだろう。原発政策を見直すなどと云ったって浜岡原発が限界でこれ以上何も出来はしない事は菅直人の実行力の無さを見れば一目瞭然だ。所詮何ら具体性のない発言には誰も乗って来ないだろう。(利権が絡んでいるから)エネルギー政策上原発の完全廃炉は不可能だとか何とか理由をこじつけて国民の総意が原発反対でも推し進めるんだろうね。何だか先が見える様だ。

 ところで震災当初は、おとなしく整然とした日本人の姿を見て外国人は日本の教育水準が高いから暴動も起きず平静でいられるのだと感心したらしいが、その日本人がいつまでもおとなしいとは限らない事は当の日本人自身が知っている。人々は無能で嘘ばかりついている政府に不信感を抱いており首相や保安院などの役人への怒りは増幅している。これ以上事実を隠し(この期になってもまだまだ隠している事がボロボロ出て来るしこれからもそうだろう)、重大な失策を続ければ人々の不安と不満と怒りが頂点に達しないと誰が断言できよう。明治維新の様な混乱と騒乱が平成のこの世の中では起きないと誰が云えようか。現にわたしは、震災以降のこの状況はもしかしたら明治維新前の戊辰戦争前夜に似ているのではないかと思っている。

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 わたしは会津の出身で、この時代は朝敵の烙印を押された者の側である。わたしは今でも戊辰戦争の勃発は官軍による策謀だったと思っている。だから官軍に正義があり賊軍となった幕府側に非があるとは少しも思っていない。わたしは思うのだが討幕派と佐幕派のどちらにも大義名分があり正義があった筈である。官軍になるか賊軍かは時の運である。討幕派の参謀は策謀と奸計に長けたが故に官軍となり、佐幕派を代表する会津藩は藩の成立からして幕府を補佐する役目を負っていたが為に誠実に役目を果たし、果たしたが故に長州の恨みを買い戊辰戦争以降徹底的に痛めつけられたのだ。

 そもそも会津藩の始祖は保科正之である。そして保科正之は二代将軍秀忠の四男であり三代将軍家光の弟で家光以上に聡明だと謂われた名君であった。その正之が残した会津藩家訓の第一に将軍家の一大事には一命を擲(なげう)って幕府を助ける事が挙げられていた。それは大変名誉な事であったが藩の成立から二百有余年を経てその家訓の第一を幕末の会津松平家の九代目藩主であった容保(かたもり)は守らねばならなかった。それが京都守護職拝命であった。家臣の反対も多かったが容保は義に背く事を良しとしなかったのだ。そしてそれが為に攘夷派の恨みを買い、戊辰戦争では幕府が大政奉還し江戸城を開城して恭順の意を示したにも拘らずその後も官軍の執拗な攻撃を受け悲惨な目に遭った。会津は落城のあと官軍からあらゆる辱めを受けた。戦死した藩士やあの白虎隊も官軍により埋葬する事を許されず三月も屍を市中や野山に晒してその有様は酸鼻を極めたと会津の歴史書には書かれている。今回の震災と津波によって未だ行方不明者が瓦礫の下に埋まっているにも拘わらず瓦礫撤去の予算さえ付かず放置されているのは幕末の会津の状況と似ていると思うのだが如何?

 「勝てば官軍」とはよく云われる言葉だ。しかし勝てば何でも許される事なのだろうか。はたまた、勝つ為にはどんな卑怯な手を使っても許される事なのだろうか。歴史を振り返って見てわたしはそう思うのであった。容保への信が厚かった孝明天皇はあの時期に天然痘を発病して、その後ほぼ恢復したにも拘わらず何故急死したのかその崩御の真相は未だ謎の儘だ。そして倒幕の勅命は偽物であった事は今ではよく知られている事実である。己が勝つ為に手段を選ばなかった官軍なるものは果たして正義の御旗を立てる資格があったのだろうか。大義名分など本当はなかったのではないか。

 佐幕派の中心にいた会津藩は戊辰戦争では徹底的に痛めつけられ、維新以降も薩長土に虐げられた。しかし会津出身者はそれが故に権威や武威に対する反骨精神を持たざるを得なかった。それは旧武士階級だけでなく農民や商人等も等しく持つ会津の精神でありこの地方に住む者の気骨気風となって今に残っている。一方の勝てば官軍の薩長土は当初の志を失い明治以降その多くが腐敗堕落して無駄な権力を持つが故に多くの民を苦しめる事になる。

 そしてまったく皮肉な事に維新以降、この吉田松陰の辞世の句の精神は薩長土ではなく会津者に宿り西南戦争まで続くのであった。官軍幹部の大半が戊辰戦争のさなかから私利私欲に走り、いつしか志をなくしてしまったのとは対照的な歴史の皮肉である。今回の題名はその事を表している。正義は権力を持った者から失われ、敗れたる者に宿るのである。どの様な正義もいつまでも正義ではありえない。それの繰り返しが歴史なのだと思う。

 わたしは思うのだが人の評価は棺を覆うまで分からない。いや、棺(菅じゃないよ)を覆って幾星霜の時を経なければ評価は定まらないのかも知れない。人が何を為したかや人の有り様は一見では分からないものだ。志を果たせずに斬首刑となった松蔭のこの辞世の句には魂を揺さぶる真実があると思う。死を前にしてこれほどまでに峻烈で世を憂う書を遺した松蔭はその生の短きにも拘わらず日本人の心に残る英傑である事は間違いない。

 しかしながら、その志を継いだ筈の勤王の志士は、明治維新を経て以降明治政府の要職に就き、やがてその殆どが腐敗堕落する。人は権力権威の階段を昇るに従って高潔な志を失い、純なるものを忘れ、正なるものを見失い、やがて俗物となって害毒を世の中に流すのである。日清戦争然り、日露戦争然り、太平洋戦争然りである。

 お上が愚かであると必然として災厄に巻き込まれるのはいつも庶民である。そしてその事は歴史が証明している。それは明治維新から143年を経た今も何ら変わらない。

 "The justice never tells a lie." 

 『正義とはけして嘘をつかない事だ』

 わたしはこれを持論であり信念としたが、わたしがいつも正義であった訳ではない事をまず最初に申し上げておきたい。人間誰しも間違いもあればおのれ可愛さの余りつい嘘をつく事もある。しかしそれで嘘に慣れてしまう者もあればそれを潔しとしない者もあるのだ。その事をよく考えて欲しい。これは人の生き方の問題なのだ。つまり人生哲学だ。

 ここで一つ皆に質問する事としよう。もし人の上に立つ者が、下の者が求めている真実を嘘をついてまで隠そうとしたら、それは果たして正しい行いだろうか? 真実を云う事によって混乱を招くなどという理由は言い訳でしかないのではなかろうか? 本当は責任逃れの為に真実を隠そうとしたのではないか? 皆様どう思われるでしょう。 前回予告しました通り、わたしのこの質問は福島第一原発の事故を例に政府や官庁、東電の今までの発表に対して質問しています。果たして彼らは正しい行いをしたのか? 国民は彼らの言葉に従えば被爆しないで済むのか? 何ミリシーベルトなどという単位を何故日本国民は知らなければならなかったのか? 震災以降の被害の多くは為政者の行いによって生じたものではないのか? それは民主党だけでなく過去の自民党の行いによって生じたものなのではないか? 復興の仕方がどうのこうの与野党間で相手を遣り込める様な国会審議をしてそれであなた方はまともなのか? 菅を降ろして何をするのかが何も見えて来ない。与野党共に全くの無為無策。そんな事に時間を費やす事が被災者や国民を益する事になるのか? もっと大事な事を話すべきではないのか? 起きてしまった事をあれこれ云っても始まらない。 それをどうするかが今一番の問題なのだ。 そこでわたしはあらためて国会議員と識者と呼ばれる人達に質問したい。

 そもそも原発は本当に日本に必要なのか?

 今の政府や与野党国会議員に日本を任せて良いのか?

 誰もそれらの質問に真実を以て語る者は居ないだろうと思われる。という事は今の政府にも国会議員にも正義は無いという事だ。真実も語らず、その事をひた隠しにし、大丈夫だと云って来た事は全て撤回訂正後退している。野党はただ菅政権を批判する事に終始し被災者や国民を見ていない。そんな状況の中、私達は何を信じて生きていけば良いのだろう。今わたしに分かっている事はもはや政府も与党も野党も大企業も信じられないという事だ。そして日本記者クラブを中心にしたマスメディアとジャーナリズムも信じていない。


   
 <余談>

 権力は常に腐敗する宿命を負っている。民主党然り、自民党然り、与党から分裂した諸野党も同じ穴の狢である。しかし今一番問題なのは政党ではなく政治の頂点に居座る一人の人間である。そして民主党も自民党も他の野党もまた「政局」で蠢き出した。・・・何度同じ事をすれば気が済むのだろう。こんな愚かな国会議員連中に国を任せて良いのだろうか? いつまで国民は我慢するのだろうか? 

 わたしが考えるに、菅が思慮浅く発した「平成の維新」は菅が意図した事とはまったく異なった意味で現実のものとなるであろう。勿論、慶喜は・・・じゃなかった、契機は東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所の事故にある事は云うまでも無い。いわずもがな、復興と原発処理を誤れば人々の怒りは頂点に達する。毎日大気中に放出されている放射線は政府の発表を大幅に上廻っている。その事を保安院のズラ西山は平気の平左で計測ミスの一言で片付けたばかりか、追及の手を緩めないフリージャーナリストを締め出そうと画策した。まだまだ政府と東電は本当の事を言っていない。今こそ私達はどう動くべきなのか真剣に考えなければならない。皆が動けば世の中は必ず変わる。変わらなければならない。そうしなければ私達の明日はないのだ。

 皆が動く事によって世の中がどう変わるのかは今のところ誰にも分からないが、少なくとも私達が立ち上がったとしたら、今よりは遙かにましな日本になっている事は間違いないであろう。

 新しい日本の未来を信じて

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 ※この記事は4月29日(金)に書かれ、5月21日及び29日に加筆修正されたものを6月26日にアップロードしたものです。従って5月29日以降の社会情勢の変化を反映したものでない事をあらためてお伝えして置きます。ついでにわたしの近況ですが5月2日に現在のプロジェクトに就いて以来未だに離れる事が出来ないばかりか秋頃まで離任は不可能なようです。6月の残業時間も100時間を軽く超えました。来月もまた然り。過労死にならない様に気を付けます。あはは!

 


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Live

嘘という絵に描いた餅を現実に出来なければ、やはりそれは欺きなんでしょう。原発も安全という謳い文句だけの欺きが証明されて、今は日本の政治らしい部分は真実バブルが弾けて暴落の一途となっています。
by Live (2011-06-26 19:00) 

aranjues

人間忙しいうちが花、でも過労死だけはお互い避けましょう(笑)。
by aranjues (2011-06-26 20:39) 

keykun

こんばんは。^^
ご苦労様の~ご家老様の死は殿が嘆きます。^^;
これからの季節~熱中症にもご留意下さい・・。^^)v
by keykun (2011-06-27 00:28) 

Silvermac

東北人は逞しいですね。
by Silvermac (2011-06-27 08:52) 

なかちゃん

原発反対と言う偉い人と一般の人が増えたのでは?と、最近感じます。
まぁ、変わらないよりも変わった方がいいとは思うので、それはそれで
いいのだろうけど、ずっと以前から『原発反対』ということを大きな声で
訴えてきた人からすると、『何を今更…』かもしれません。
今はこの反対派や慎重派の方の声が小さくならないことを祈りたいです。
大変ご多忙のご様子、お身体には気を付けてくださいね (^^)

by なかちゃん (2011-06-27 09:24) 

枝動

天が異常となって、地には嘘がまかり通ってしまった。
正義とは正しく嘘をつかないことでしょう。

嘘を吐き続ける者に違和・不信は募り、その嘘が暴かれるにつれ憤りが極に達する。彼らに対して、「東京裁判」を受けさせることは出来ないのか。
原発は必要だと思ってきた、が、事後以来考えは180°変わった。
人間が制御できないものは、ましてや正義をねじ曲げてしまうものなど持つべきじゃない。

虚しさと情け無さいっぱいの中で、それでもこの国を愛しながら、「正義で自らを律しがんばろう」と思うのです。
by 枝動 (2011-06-27 12:13) 

どぼちょんぱぱ

原発以外のエネルギー開発をあえてしなかった電力会社や利権議員達。
普通に考えればあの設備の品質では事故が起こるのは明らかだった訳で。
原発以外はコスト的にも現実的ではないと言い切っているようでは人間としての知恵を出そうとしない愚かな人間では?これまで無駄な電気を消費してきた人もいるのでしょうが。
by どぼちょんぱぱ (2011-06-27 13:06) 

とりのさとZ

もう少し、いいカメラを使ってはいかがでしょうねぇ。

虹が、ニジんでるやん(笑)。
by とりのさとZ (2011-06-27 20:10) 

たいへー

冒頭のギャグ、いいですね。
使わせていただきます。(笑
by たいへー (2011-06-28 12:03) 

袋田の住職

フォッサマグナ上の長野県で大きな地震があるとびくっとします。
新潟県は北アメリカプレートとユーラシアプレートの境界だし、
伊方原発は中央構造線上にあります。
いってみれば日本中が活断層のようなものですから、
原発にとって、直下型地震は脅威ですね。
by 袋田の住職 (2011-07-10 21:24) 

mochamama

ご無沙汰しております。
モカ家は3月の地震以来、生活が大きく変わってしまいました。
幸い釜じいのところはTVで放映されているような大きな被害はなく、不自由のない生活を送ることができています。

お盆には喜多方に帰省する予定です。

お仕事できるのはありがたいことですが、働き過ぎにはお気をつけください。


by mochamama (2011-07-11 17:06) 

吟遊詩人41

御無沙汰してました。
今更ですがホットスポットに在住してる事を自覚しました。
ワタシ流に駄文を書いてみたくなり今日やっと決行!
遅いってがw^^;
by 吟遊詩人41 (2011-07-17 09:05) 

bamboosora

お久しぶりです。
東電は東北電力に電力をお裾分けしたという話を聞きましたが、
いったい何が本当の話なのかわかんなくなってきました。
by bamboosora (2011-08-15 15:42) 

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