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「日本の進むべき道」・・・ひとつの提案(其の弐) [随筆]

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              <夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡(あと)> 

 日本の進む道は長く険しい。 ・・・とはまったく思っていない。

 その気さえあれば10年で日本の社会を変える事が出来る。

 要は国民が変革を求めるか否か。一度日本の進むべき方向を決めたら官民共に国民が等しくそれに向かって邁進出来るかどうかだと思う。こんな文を書くとやれ全体主義だの戦前と同じだという人が必ず出て来るのはいつもの事である。しかしてんでばらばらでは何一つ決まりはしないし、それは戦後の日本が辿って来た道そのものではないか。国民の過半が支持し了解する方向へと大きく舵を切らなければ今の日本は何一つ変わりはしないだろうし良い方へ向かうこともない。

 その意味では、「骨太の方針」や「集団的自衛権」など小手先の対応では今の日本を取り巻く状況が何一つ良い方向へ変わることはない。「何が小手先なのか!」と反論する者もいるだろう。

 わたしはそれにすぐ答える事ができる。 

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 『良くなるも 悪くなるも 日々些細なことの 積み重ね』

 毎日の些細なことの積み重ねが月日が経てば大きな変化や違いとなって現われるのですね。自堕落で三年過ごした人と、同じ年月を精進して日々努力を重ねた人との隔たりは一生取り返せない程の違いとなって現れます。過去を振り返ってみて自分や自分の廻りに居た人達に思いを巡らす時つくづくそう思えるのです。みずからの毎日の言動をひとつひとつ自覚することによって、また一日を終える時にその日あった事を顧みるだけでも、随分とその後の人生は変わって来るものだと思っています。

 後悔しない人生を出来れば歩みたいものです。


 

 「日本の進むべき道」・・・ひとつの提案(其の弐) 

 骨太の方針の肝は法人税の引き下げと女性の潜在能力の活用と、雇用者の時間給から年俸制への転換だ。だが法人税の引き下げは企業に活力を生むかといえば一概にそうとは言えない。税金を下げても企業を取り巻く様々な規制や制約を取り払い環境を整えてあげない限り企業が息を吹き返すことはない。減税自体も問題だ。何故なら税収減少に対する財源が確保されていないからだ。過去の政権もすべてそうだったが、どうも現政権も心地良いリップサービス先行で重い負担を伴う現実は後回しにする腹づもりの様だ。税収減に対応するために赤字企業からの税収を視野に入れて検討している様だがそれをもし実施すれば日本の屋台骨である中小企業の倒産が相次ぐだろう。そして世界に冠たる技術力も失われ日本が根本的に弱体化するという訳だ。安倍政権は僅か0.3%の大企業を優遇し99.7%の中小企業には形ばかりの対策と対応しかして来なかった。もしこのままの状況が続くなら10年後の日本はますます世界の趨勢から置き去りにされ立ち直ることは出来ないだろう。

 もうひとつの柱である女性の活用では、働きやすい環境整備が大事だが掛け声ばかりで女性が外で働く障害を取り払う努力は殆どされていない。例えば、働く女性の主流は男性と同じく三十代四十代だと思うがちょうどその年齢層の女性は子育ての最中である場合が多い。にも拘らず現実には子供を長時間預かってくれる保育所や学童保育といった施設が整備されていない。安倍政権は待機幼児や児童計35万人分の保育施設を確保すると掛け声だけは立派だ。しかしその実現性となるとかなり怪しい。保育士や保育に携わる人員や施設の確保は(さも当てがある様な具体的な目標数値とは裏腹に)現実的には環境整備が整っていないために実現するのは不可能に近い。児童保育の現場では労ばかり多く報酬が寡少なため保育に携わる人材のなり手がいないのが現実だ。こういうところにこそ税金をつぎ込んで女性の活用をすれば良いのにそれすら出来ていないしする積もりもないように見える。常に人手不足に悩まされている介護の現場での教訓がまったく生かされていない。女性が外に働きに出る事の障害はこれだけではない。今の日本では出産や子育てなどで一旦離職した女性の復職は不可能に近い。妊娠した時点で企業から退職を迫られたり圧力を掛けられたいった事例は後を絶たない。このことからも分かる様に日本の社会構造そのものが女性が自由に働ける環境にはなっていないのだ。企業人の意識改革からはじめなければならないとすると随分と先の長い話になってしまうだろう。この様に実情を良く知りもせずその対策も明確に示されていない中身のない方針では看板倒れになるのは目に見えている。

 予算もまともに付きはしないし環境も変えられないとしたら人も企業も動きはしないだろう。

 これで女性に社会に出て働けといえるのか。現状無視と将来展望も計画性もないとしたら潜在的な女性の能力の活用はいつまで経っても潜在のままで、将来にわたって顕在化され活用されることはない。

 年俸制(固定給で残業代無し)の導入については株のトレーダーといった職種に限定して実施すると言っているが一旦決まればそれが数年後の見直し時にすべての職種において限定が外され撤廃されることは過去の例を引くまでもない。そうなれば当然ながら低所得労働者の残業カットや給与カットに繋がる恐れは火を見るよりも明らかだ。

 それよりも終身雇用制をよみがえらせて現代にマッチさせた方が余程労働意欲も湧くし雇用不安もなくなるので企業の収益性や国際競争力も飛躍的に向上するだろう。労働者の安心や安定無しに人の集合体である企業が活性化することも発展することもないだろう。外国からのグローバルスタンダードの圧力で終身雇用制が崩壊したがお仕着せグローバルスタンダードなどくそ食らえ。日本の終身雇用制をグローバルスタンダードにしてしまえば世界は今より余程安定する。

 プロのスポーツ選手じゃあるまいし、ごくフツーの会社員には無縁な年俸制の導入などいやはやろくでもない官僚の考えそうなことだ。わたしはフツーの会社員時代にその年俸制とやらを経験しているが、あれは管理職という肩書きを与えることで残業代を払わなくても良い様にするが為の制度でしかなかった。「肩書きは要らないから給与を上げよ」といったらそれから退職までの15年間部長まではなったけれどずっと経営者と経営陣には睨まれっ放しだった。契約更改や業務評価制度さえ明確なものがないのだから単なる固定給だと云ったのは正直過ぎたかな(笑)。という訳で、一旦これを認めたら数年もしないうちにごくフツーの会社員にも年俸制が適用され無縁ではなくなるどころか給与の目減りに繋がる改悪だから他人事ではなくなるだろう。

 この様に安倍総理が不退転の決意とかわたくしの使命などと大見得を切って自信あり気に話していることと現実は乖離しているということだ。実効性のない対策を幾ら実施しても大した成果は得られないし税金の無駄遣いだ。つまり『骨太の方針は失敗する。

 そもそも税収が足りないのに無駄遣いするとは何事か!

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 集団的自衛権にも言及して置こう。

 その前に、とうとうしてはならない事をやっちゃいましたね安倍政権。あの訳の分からない行使の要件は何なのだろう。判断基準が実に曖昧でありえないことまで想定に入れている。個別的自衛権や警察権で事足りるものを無理やり集団的自衛権に当て嵌めようとするからこんなことが起こる。大体「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明確な危険があること」などいう言葉明瞭意味不明な事柄が、現実に行使の判断をする段階でどうして明確に分かり得るのか大いに疑問である。後になって「あの攻撃は日本の存立を脅かす攻撃だった」というなら理解できるが、いざ危急の時に日本やその同盟国に対する攻撃がすなわち日本の存立を脅かすと疑いなく判断できるとはとても思えない。時の政権だけではなく有識者や軍事専門家でさえも国民に重大な危機が迫っているなどとは誰一人正確に判断出来はしないだろう。それでも無理やり集団的自衛権を発動したいのだろうね。事実は違っていても一旦行使すれば後でどうでも理屈は付けられるとでも思っているのだろうか。

 出来もしないこと、判断し難いこと、を明文化してそれを新三要件などと唱えるとは国民を愚弄しているとしか思われない。

 そもそも日本の存立を脅かすために「日本と密接な関係にある他国」に攻撃を仕掛けるということが現実に起こり得るのだろうか。もしくは「日本と密接な関係にある他国」が攻撃を受けその事によって日本の存立が脅かされることなどあり得るのだろうか?

 安倍総理は外国で紛争や災害などに遭った日本人を乗せた米国の艦船が、日本に向かう途中公海上で他国から攻撃を受けた場合を集団的自衛権の具体例として再三再四挙げているが、その様な場合米国が反撃している間に自衛隊が現場に到着して米国と共同して軍事行動を取る時間はないというのが実際なのではなかろうか。現場に到着した頃にはもう何らかの決着が付いてしまっているだろう。この事例は集団的自衛権の具体例としてはあまりにもお粗末であり現実性が乏しい。これ以外の例を見てもわたしには安倍政権の想定する具体例が現実に起こるとはまったく考えられないし思い浮かべることすら出来ない。

 そうであればこの想定自体がおかしいと思うしかないだろう。

 現実問題として、世界最強の米軍に攻撃を仕掛け、それが日本の存立を脅かすのが目的であった、もしくは米軍を攻撃することによって日本の存立が脅かされる恐れなどあり得るのだろうか? 米軍に自分の方から攻撃を仕掛けて来る国家がもしあるとしたら米国の軍事力の何たるかを知らない愚か者国家だ。現実的には日本の存立が危うくなる様な米国を標的とした攻撃などあり得ないのではないか。過去にも存在したようにこれからも米国や日本を挑発する国家はあるだろう。しかしその様な国家が米国に対して先制攻撃を仕掛ける可能性は零に近い。

 わたしの考えと戦争の常識から考えれば敵国の一番弱いところに攻撃を仕掛けるのが普通で、それは取りも直さず敵国からすれば米国よりも先に日本を叩くという形になる筈だ。つまり集団的自衛権を発動するのは米国の方であって日本は個別的自衛権で対応するという今の形で十分なのである。敵国にしても他国を侵略もしくは攻撃するには相手から先に攻撃があったという国際的にアピールし自分を正当化する口実(大義名分)が絶対に必要なのだ。歴史を遡っても例を挙げれば枚挙に暇がない。常識的にも現実的にも(米国に攻撃されて反撃するのならいざ知らず)自ら米国に対して戦端を開くバカなど狂信的テロ集団以外地球上のどこに居るものか! あの北朝鮮だとて国家の存立やキム体制が根本的に脅かされない限り米国や日本を直接的に攻撃はしないのは明らかだ。

 つまり安倍政権の掲げる「具体的事例や要件」自体が現実にはあり得ないのだ。

 幾らでも拡大解釈できてしまうあんなのものに庶民派でもう少し良識があると思っていた公明党が同調するとはいやはや世も末です。よくよく聞くとあとでどうでも言い逃れが出来るように逃げ道だけはしっかり作っているようだけれど(笑)

 国会中継を車のラジオで聞いていたが、安倍総理はのらりくらりと答弁をして野党の問いかけに真剣に答える積もりはない様だ。国民の代表である国会議員の質問にまともに答えないというのはそれら議員を選んだ国民のみならず国民全体に対する背信行為だとわたしは思うが皆様は如何だろう。まあ野党がだらしないから与党をのさばらせた事実があるので国会そのものが国民の信託を裏切っているとしか云い様がない。残念ながらこれが日本の国政の実態だ。

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 話を元に戻そう。

 これら想定からはどんな政府判断でも出来てしまうので想定自体が様々な憶測を呼ぶ元凶になっている。本当に限定的というならば、

 「日本が敵対国から攻撃を受け、日本の要請と日米安保条約に基づいて米国が軍事支援行動に及んだもしくは及ぼうとした時に、当該相手国から米国が攻撃されたという明白な事実が判明した時に日本は集団的自衛権を発動できる」

 ・・・はっきりとこう言い切ればいいのだ。でもこれって日本が先に攻撃を受けているのだから個別的自衛権と現行日米安保条約の範疇だよね(爆)

 米国が日本の防波堤になり先に攻撃を受ける確率よりも日本が先に攻撃を受けそれを支援するために米国が相手国に反撃をする確率の方が圧倒的に高いだろう。百歩譲ったとしても、日本が攻撃を受けていない段階で日本と密接な関係にある米国が何らかの理由で攻撃を受けた場合、それが日本の存立や国民の生命を危うくするとどうして瞬時に判断することが出来るのだろうか? 

 米国への攻撃がすなわち日本への攻撃と見做すという考えは米国にとっては都合の良い論理ではあっても日本にとってそれが良いことだとはとても思われない。集団的自衛権とは軍事同盟を結んでいる同盟国間に成り立つ論理であって日本の平和憲法下では成立し得ないしあり得ない概念なのだ。だとしたら現実にはありえないことは撤回して上記のような要件を掲げるべきだろう。考えられる現実的な想定はこれしかないのだから。

 この想定を元に三要件を纏めれば誤解を生むこともないだろう。もしそれが出来ないというならば後で好き勝手(時の政権の都合の良い様)に解釈を変えられる余地を残す魂胆があると内外から見られても仕方がないし現実にもそうだろう。

 そもそも集団的自衛権の行使とは日本に関係のない地域にまで米軍の片棒を担がせようというのが本音なのだ。現に米国国防省(ペンタゴン)の高官からはNATO軍並みの活動を期待出来るという発言がされている。いずれコソボ紛争のような事が起こったら日本は世界のどこへでも米軍を支援するために派兵しなければならなくなるだろう。集団的自衛権とはそういうものだし限定的な適用などあり得ないのだ。幾ら言い訳しても糊塗してもその事実は見える人には見えるものだ。その事を国民は忘れてはならない。

 安倍総理は国会答弁などで海外では積極的平和主義や集団的自衛権行使を容認した事が評価されていると自画自賛しているが、良く評価されているのか悪く評価されているのか分からないようではおバカとしか言いようがない。近隣諸国や自国のナショナリズムを煽ったり、不用意に仮想敵国を作ってしまう言動を繰り返す事によって、逆に国民の安全を脅かす宰相が存在しているとしたら、どこぞの誰かが拙ブログ記事に反論としてコメントした安倍総理が「歴代最高の宰相」などである筈はないのである。

 ところで国会への集団的自衛権関連法案の提出は次回の臨時国会には提出せず来春の通常国会に提出するとの事だがこれもほとぼりが冷めるまで寝かせて置いて、審議が始まったら国会での衆参与党議員の圧倒的多数を武器に一気呵成に成立させてしまおうという魂胆だろう。これで国民の審判を仰いだことになるのだろうか?・・・ならないだろうね。

 そもそも集団的自衛権が表面化したのは中国との尖閣諸島を巡るトラブルが発端だが、日本政府と自民党はこれを政治利用しようと考えたのだろうね。その後中国を念頭に集団的自衛権の行使容認が語られて来たのは誰もが疑いようのない事実だ。中国はもとより諸外国から見てもそれを理由に日本政府が行使容認を決めたのは明白だから中国を含めた近隣諸国の反発は当然なのだ。中国はこれを理由に自己を正当化し更に軍備増強に走ることは初めから予想されたことだ。そしてその予想通り中国にいい口実を与えてしまった。

 この様に安倍政権は本当に浅慮だと思う。これで日本も危険と隣り合わせの国になった訳でいつ戦争が起こったりテロの標的にされるか分かったものではない。現に安倍総理が大丈夫だ、安全だ、戦争に走ることは無いと強調すればするほど国民はどんどん不安になっていく。理屈ではなく感覚でこれは危ないと国民は感じているということだろう。集団的自衛権を容認して米国の片棒を担ぐということは米国と敵対関係にあるすべての国やテロ集団などの非合法組織と敵対するということだ。湾岸戦争のような事が起こっても派兵することは無いと断言したがその頃に安倍総理は総理ではなくなっているだろう。そして限定的行使という言葉は形骸化し跡形もない筈だ。集団的自衛権を認めたのに日本は一体何をしているとその時米国は吼えまくるだろうことは火を見るよりも明らかだ。その事を日本人は本能的に理解している。

 

 そして安倍政権の支持率は50%を切った。

 

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 集団的自衛権などという戦争の口実を作って置きながら「戦争は絶対に起きない起こさない。その為の集団的自衛権だ」なんて平気で嘘をつく総理大臣なんか誰が信用するものか。いや、信用する人もいるだろうね。でもわたしは信用しない。憲法を軽んじる政治家など日本には不要だと思っている。限定的がどうのこうのと散々言っているが嘘八百だ。米国の意向で幾らでも拡大解釈されて泥縄で戦争に引き摺り込まれるだろう。安倍総理は中東湾岸地域などにおける機雷除去は集団的自衛権の範疇だとの認識だがこれはどう考えても埒外だ。どこをどう解釈したら集団的自衛権が成立するというのか? 原油タンカーが機雷に触れて航路を塞いだとして、それが故に原油が中東から一時期入って来なくなったとしても国民生活が困窮することはあっても国民の安全や日本の存立が脅かされる事はない。これこそ拡大解釈の典型である。この分では今後も拡大解釈一辺倒路線を突っ走るだろう。

 日本人にとって日本の安全を脅かす安部政権は危うい存在である。

 それともうひとつ述べたいことがある。自民党は色々な想定を公開したがあれは一体何の為に公表したのだろうか。紛争の相手国が日本の思惑(想定)通り動く訳がないのが分からないのだろうか。そもそも戦争とは相手国の想定外で動くのが基本だ。相手国が限定された事例などお構い無しに攻めて来た時に限定された想定事例に当て嵌まらなければ日本は何もしないのか? こんなことはバカでも分かる話だ。だから自公の与党内調整などすべて欺瞞に満ちた茶番劇だと云って置こう。公明党はもう平和を標榜する政党ではないし庶民の党でもない事が明らかになっただけでも平和を希求する国民にとっては収穫というところだろうか。

 

 さて集団的自衛権行使の結果何が起こるのかについて言及して置こう。

 安倍政権は拙速に憲法解釈を変えてまで無理やり閣議決定をした。しかしそれによって日本の安全が保障されることはまったくないのはご存知だろうか。集団的自衛権があろうがなかろうが、いま目の前にある脅威である中国はそんなことを斟酌することなく日本を攻める時は攻めて来るだろう。中国にとっては日本を攻める大義名分や口実だけが必要なのだ。集団的自衛権の行使を容認してしまったのはその口実を日本自らが与えてしまった事になる。

 これを契機に中国が更なる軍備増強を図り、尚一層軍事的圧力を仕掛けて来るのは明らかだ。歴史的に見ても強大な軍事力を持った国はいずれその軍事力を使いたくなるものだ。今の中国はまさにその臨界点に達しようとしているのだ。東シナ海上空における中国機の異常接近などはその兆候を示している。つまり中国が想定するターゲットは日本だ。

 ご存知のように中国の領土的野心は露骨でありフィリピンやベトナムと衝突を繰り返している南沙諸島の例を見るまでもなく東シナ海の尖閣諸島もいずれ同じ経過を辿るだろう。中国にとってフィリピンやベトナムは主たる標的ではない。日本こそが真のターゲットなのだ。中国首脳はけして日本に侵略された過去を忘れることはないだろう。そして報復する機会を虎視眈々と狙っている。国交正常化時の周恩来や天安門事件が起こる前の鄧小平体制までが中国との蜜月時代であり、その終焉によって日中はのっぴきならない険悪な間柄になってしまった。これも冒頭に挙げた「日々の些細な積み重ね」の結果だと考えれば理解できよう。韓国も然り。確かに日本人は過去の精算をしていないのだ。

 少し脇道に逸れるがこの事について触れておきたい。「過去の精算」とは何かと云えば「過去を曖昧にしない」という事だ。相手国の主張に対し事実を揚げて事を明確にすると云うことだ。事実を明らかにしないで有耶無耶にして来た事が今の状況を招いているのだ。もし過ちが調査の過程で明らかになればその時はじめて謝れば良かったのだ。ただ謝罪すれば事が納まると安易に考えた結果が今に繋がっている。初めに謝罪ありきでは幾ら謝っても際限なく相手国は日本を詰り続けるだろう。安易な譲歩はけしてしてはならないのだ。その事を韓国は如実に示している。河野談話の調査結果の韓国への説明は愚の骨頂である。

 元に戻そう。

 そしてもうひとつ大事なことがある。日本は中国を責められないのだ。対話の扉は常に開いているといいながら「前提条件無しに話し合うことが大切」と言って門戸を閉ざしているのは日本の方なのだ。中国には大国の意地がある。過去の不幸な歴史もある。絶対に引けない国内事情もある。だとしたらそれに耳を傾ける余裕がどうして日本側にないのか。イソップ童話の「北風と太陽」を日本政府は知らないのか?

 中国が大人でないならば日本が大人になるべきだ。そう思いませんか?

 中国に対しては硬軟取り混ぜて交渉する必要があるだろう。国際司法裁判所や国連に提訴してその領土的野心に歯止めを掛けるという手段もある。しかしそうは云っても中国は常任理事国だ。制裁等の国連決議や国際法違反が認められてもロシアの例を見るまでもなく拒否権を発動すれば何の効力もない。ロシアのクリミア半島併合の時もそうだったが紛争国との経済的結びつきが強ければ強いほど強硬な対抗策は打ち出せないのが実情だ。いまや世界第二位のGDPを誇る中国なら尚更だろう。・・・という訳で集団的自衛権を行使出来る様になっても今のままではいずれ日本の領土は侵食される運命にある。中国の真意は日本を占領することかもしれないのだ。それが日中戦争終結以来の中国の意思だとしたら尚更だろう。

 だとしたらそれを何としても回避する方法を考えなければならない。わたしならもっと根本的・抜本的かつ実現可能な具体的解決法を探るだろう。そしてその解決法が有効だとしたらその時点で集団的自衛権の行使を撤回する。つまり自国は自国のみで守りますと宣言する訳だ。

 とにもかくにも中国相手に集団的自衛権の行使などという小手先の対応をしてもまったく役には立たない。中国は孫子の兵法発祥の地だ。人口は11倍で軍事力は強大だ。たとえ米国が日米安保と集団的自衛権を根拠に共同軍事行動を取ったとしても、財政難で軍備縮小を推し進めるのと同時に湾岸戦争やアフガン派兵で厭戦気分が蔓延(はびこ)る米国世論に押されていずれ尻すぼみになるのは目に見えている。わたしがもし米国市民ならば「自分の国ぐらい自分達だけで守れ!」と云うだろう。という訳で米国も日本政府も万事ご都合主義で言う事為すことコロコロと変わる。だから集団的自衛権などあってもなくても同じなのだ。つまり集団的自衛権は日本の安全保障上必要な要件ではない。

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 脇道に逸れてしまったのでもう一度本筋に戻そう。

 そもそも、集団的自衛権の行使が取り沙汰された発端は中国の脅威によるものではなく米国の国内事情によるものであることを日本人ははっきりと認識すべきだろう。日本の安全保障の議論の中で必ず出て来るのが、「日本を守るために米国が軍事行動を起こした時に敵対国が米国を攻めても今のままでは日本が米国を助けることが出来ない。もし日本がその状態を座視し何もしなければ国際的非難を浴びるだろう」というものだが果たしてこれは本当の事だろうか? また、「集団的自衛権を行使して日本ははじめて普通の国になれる」という主張もある。

 ・・・という事は、日本は普通じゃない国家なのか? 異常な国家なのか? 

 けしてそうではないだろう。憲法によって戦争の永久放棄を謳った特異(ユニーク)な国家だと認識されているということなのだ。けして変な国ではないのである。自民党の高村副総裁の言に騙されてはいけない。

 普通の国になることによって戦争が近づくとすれば普通の国などになりたくはない。

 

 何もしないことによって国際的非難を浴びるという主張についても反論したい。

 欧米はもともと契約社会だ。国家間の条約や協定もみな契約である。そして日米安保条約の条文には日本が集団的自衛権を行使して米国と共同軍事行動を取るなどとはどこにも書いていないのだ。だとしたら日本が国際的な避難に晒されることなどあるのだろうか? 契約に基づいた対応をしたのに非難されるという論理は実におかしなものだと思うが如何だろう。はっきりものを言えばいいのだ。「米国は弱くなりました。予算も限られています。だから日本がもしどこかの国に攻められて米国が条約に基づいて軍事行動を起こしたら条文に基づいた行動を取るのではなくて少しは軍事力を肩代わりして下さいね」とね。

 そんなことを有耶無耶にして中国を想定した議論の中で集団的自衛権の行使容認を決めてしまうから中国政府が反発するのだ。中国は本当に怖い国だ。世界各国の中枢部にまで入り込んでいる中国系住民を甘く見てはいけない。直接的に兵器を使用して攻撃して来るだけが戦争ではない。情報操作やプロパガンダやサイバー攻撃だとて今の中国を見ればお手のものだろう。これには米国や国連ですら手が付けられない。オマケに今の事務総長は毅然さがまったく見られない不公平な倫理観や偏った歴史認識を持つ韓国人だ。先頃のあの国連の公正さのない偏った声明は何なのか!

 結局のところ米国は頼りにならず日本を守ってくれるのは日本だけだ。

 つまり集団的自衛権などあってもなくても状況は変わらない。集団的自衛権があろうがなかろうが日米安保条約第5条が無条件かつ厳格に履行されないのならばその様な条約など必要ないのではないか?米国も国連も国際司法裁判所も当てにならないとしたら尚更である。

 今日本が本当にしなければならないのは、集団的自衛権行使容認などしなくとも日本の安全保障を確実に担保できる他の方法を考えることだ。

 米国に頼れば米国の国内事情に振り廻される。それは日本の戦後の歴史そのものではないか。今もむかしも何一つ変わらない。終戦当時はそれでも良かっただろう。現実に米国の軍事力が日本に及んでいたから戦争抑止なったのは事実だしそれに感謝しても良いと思っている。しかしいつまでも米国の軍事力に頼ってばかりいて本当に良いことがあるのだろうか? 時代によって解釈が変わるというのならば、今後は米国のいいなりでは日本の国益にかなう事はないだろうから日米安保条約の中身を見直すか破棄を検討すべきだろう。そして米国の軍事力の枠から外れて自前で防衛構想を練るべきだろう。

 日本一国じゃ自国を守れないって? あなた安倍政権にすっかり洗脳されているね(笑) 自分で考える癖をつけないといずれ思考力が退化しちゃうよ。それでもいいというなら何も云わないけど。

 冗談はさて置いてご安心あれ!日本の安全が他国に頼らずに確保される方法はあるのだ。

 しかも自衛の為の軍備を増強しなくても安全は確保される。・・・後々それを明らかにする。

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 今まで述べて来た様に、安倍政権とその背後にある自民党は遣ること為すこと小手先で抜本的な解決を回避しているとしか思えない。目の前の危機を煽り立て国民にじっくり考える時間を与えず短時間に物事を国会での圧倒的多数を背景に強権的に決めてしまう安倍政権の遣り方は間違っている。国会や憲法を無視し閣議決定で憲法解釈を変えるという事は法治国家としてあるまじき行為だ。恐ろしい禍根を残すことになるだろう。わたしはこの様な暴挙は違憲行為そのものだと思う。今後このこと(憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認すること)について訴訟が起こされるのは間違いないだろうから司法の裁定を見守りたい。一審二審は違法判決が出ても最高裁で腰砕けだったら日本の司法も高が知れているということだろう。その時点で三権分立は絵に描いた餅であったと証明することになる。

 日本の政治家が今本当にしなければならないのは目先の問題を国民の不安を煽り立てて議論したり国会審議を経ないで閣議決定してしまうことではなくて、国民の前に長期に亘って安心できるビジョンを示すことだと思うが如何だろう。そうでないと進むべき道をまた誤ることになる。それが今もって示されない安倍政権などわたしは信じない。

 であるならば、現政権や政府など当てにしないで日本を安全で豊かな国にするにはどうしたら良いか(他人任せにしないで)国民の一人ひとりがもっと真剣にこうありたいという実現可能な日本の将来像を形作るべきであろう。結局のところそれが国を変えていく原動力になるのだから。

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 そろそろ本題に入っていこう。

 わたしは日本は変わらなければならないと考えている。

 日本のより良い将来像を実現する為には変革は必要絶対条件で避けて通れない道だ。変えるべき、そして変えられると考えているのは日本を取り巻く安全保障や外交のみならず内外のあらゆる諸問題のすべてだ。ただし今までのままでは駄目だ。わたしの考えているのは計画性のある緩やかな変化だが考え方自体はドラスティックだといえるだろう。何故なら実現すれば国のあり様つまり国体が変わるのだから。

 「ほぉ~、でかく出たね」と、思う方もおられるだろうが実現可能な変革だ。ちなみにわたしはビッグマウスでもなく夢想家でもない。そして革命思想も抱(いだ)いてはいない。

 社会全体を変えるというと「革命」と捉えられかねないが流血沙汰は誰でも嫌だ。しかし流血なしに世の中を変える方法は実は幾つもある。わたしが選んだのはその中のひとつだがちょっと皆の思いつかないものだ。しかし奇をてらった案ではないし何よりも現実性がある。

 これを実現することによって集団的自衛権も消滅するし日米安全保障条約も不要になる。不要ならば当然ながら軍事同盟や共同軍事協定は破棄されるだろう。その際何よりも大事なのは軍事同盟や防衛協定を破棄しても日本が近隣国も含めた諸外国から攻められない若しくは攻めにくい国にしなければならないという事だ。

 これを乗り越えるハードルは非常に高いが十分実現可能なシナリオだ。

 そして冒頭で述べた様にそれを実現するためのタイムスケジュール(施行準備期間)を10年に設定したのだ。

 わたしの解決策を聞けば「え、何で?」と思う方が出て来るだろう。意外だしそれを選択することによって何が変わるのかがたぶん理解できないだろう。しかし、今の日本の困難な状況を打破するにはこの結論しかない様に思える。これこそ日本を蘇らせる起死回生の打開策であり絶対的処方箋だとわたしは思っている。実現できれば本当に日本の社会は根底から変わるだろう。

 わたしの考える解決策は以下の通り。・・・・・・・・

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 その答えは『日本が永世中立国になる』こと。

 日本の選ぶべき最良の道はこれだと思う。

 唐突に思えるかもしれないがこれがわたしの答えだ。若い方はご存知ないかも知れないけれど、実は敗戦以来日本の非武装と戦争放棄が議論される中で日本を永世中立国にしてはどうかという議論は国内外から幾度も出ていたことなのだ。しかし当時の状況がそれを許さなかったしその後も間歇的に中立国の議論は浮上したが実現できなかった経緯があるのだ。しかし今ならそれが出来る環境にある。機は熟しているのだ。わたしは何も日本の安全保障だけを考えてこんな事を云っているのではない。永世中立国になることによって安全保障を含めた日本の抱えるあらゆる諸問題を一気に解決出来ると考ているからだ。しかし日本政府も米国も日本の永世中立国化を望んでいないのは確かだ。自分達の権益がなくなってしまうからそれは当然の事だろう。だからこの事をおくびにも出さないのだ。

 ところが永世中立国として国際的に認知されれば日本を取り巻くあらゆる諸問題を一気に解決できるのだ。永世中立国は当然ながら他国との軍事同盟や防衛協定は結べないし他国に対して中立を保たなければならない。したがって集団的自衛権など不要になり日米安保条約も破棄される。つまり戦後以来70年近く経っても米国に頼りきりで独立国としての自覚がない日本政府とアジア最大の軍事外交の拠点である日本列島を手放したくない米国政府の思惑は一致していて「日本の永世中立国化」を唱えることは永遠にないだろう。だが日本の永世中立国化は日本人にとって本当に益のあることなのだ。

 永世中立国になるには複数の中立条約締結国が必要だが利害が対立する隣国である必要はまったくない。ナショナリズムに凝り固まった中国と韓国や北朝鮮が日本と中立条約を締結することなどありえないだろう。古今東西太古の昔から近隣諸国とは仲が悪く、遠方の国と国交の誼を通じるというのは常識だ。当然それは今の日本にも当て嵌まる。そして実は中立条約締結国が必要だというのも永世中立国成立の一番の要件ではあるが絶対要件ではない。現実にも中立条約を取り交わしていなくても中立国を宣言しその様に振舞っている国は実在する。だから日本もその気になればなれるのだ。しかし皆の胸中にあるあるのは、

 「日本が永世中立国になる必要と必然性はあるのだろうか」という問いだろう。

 それに答える前に何故日本国憲法の九条を変える必要があるのか?・・・とわたしは考えている。改憲論者の主張は九条は実情に合わない。時代と共に憲法解釈は変化する。というものだが本当にそうだろうか。与党も野党も含めてその議論を聞いていて思うのは何故国会議員は逆転の発想がないのだろうかということだ。わたしなら第九条を逆手にとって日本の安全保障を確立する方法や国際的に認知される遣り方を考えるだろう。現状を否定するのではない、肯定して日本の生きる道を探るのが一番懸命な遣り方だと思う。そしてその答えが『永世中立国』なのである。

 永世中立国になることのメリットを述べたいと思う。まずは安全保障面から話す。

 日本が永世中立国になることを宣言し、複数の国と中立条約を締結したと仮定しよう。すると締結国は日本が他国から攻められた場合に日本の防衛を助ける義務が生じる。つまり個別の国と軍事同盟など結ばなくとも国際的に認められた日本を軍事支援してくれる国が現われるということなのだ。中立条約締結国が出来たとしたら(歴史を顧みれば現われる可能性は高い)いざ有事という時にはその締結国が日本の防衛を助けてくれる。・・・ということはつまり中立条約締結国が日本の安全を保障する訳だ。しかしこれは締結国に頼ることを意味しない。あくまでも「自分の国は自分達で守る」のが前提であり原則だ。中立国とは他国に与(くみ)せず軍事的にも他国頼らないということだ。複数の中立条約締結国が日本の安全を保障するというのは謂わば国際的に認められた安全保障の担保に他ならない。これを侵した国は当然その報いを受けるだろう。だからこその永世中立国なのだ。

 それから日本にとってデメリットの方がはるかに大きいTPPは締結しても破棄することになるだろう。食糧安全保障に絡むのだから当然だ。そもそもかつて米国の関税引き下げの圧力の前に日本が主張した食糧安全保障の議論がTPP交渉では何故出て来ないのかがいかがわしいのである。

 永世中立国になれば国内に外国の基地は置くことを禁じられているので沖縄の米軍基地だけでなく日本国内の米軍基地はすべて撤退して貰う。これで基地問題も一挙解決だ。米軍が撤退しても日本が永世中立国ならば中国もおいそれとは日本を攻撃出来なくなる。攻撃すれば轟々たる国際的非難を浴びることになるからだ。多分国際連合を脱退しなければならなくなるだろう。日本が永世中立国になれば安全保障上はこれだけメリットがある。

 安全保障以外のメリットを挙げる。

 中立国になるまでの準備期間中に過去の清算(金銭ではない)を誠実に行えばこれ以後中国は云うに及ばず韓国も日本を非難することが難しくなる。他国と経済協定を結ぶ必要もなくなるから背伸びして無理な要求を呑む必要はなくなる。経済成長を前提とした目標を立てる必要はないので無理して一定の国力を維持する必要もなくなる。身の丈以上の国力を維持する必要がなくなるのだから人口減少に歯止めを掛ける必要も当然なくなる。つまり少子化対策などと実効性が訝られている対策に余計なお金を掛けずに済む。これからは人口は一定限度減少するという前提に立って物事を進めなければ方針を誤るだろう。

 人口減少に伴い外国人労働者を受け入れることが真剣に話し合われているがこれからは経済成長を望まないのだから外国から労働力を募る必要はなくなるだろう。EUなどを見ていると外国人労働者が原因で労働争議や排斥運動が起こって国際紛争の火種になる事が度々ある。はたして日本はそんな危険を冒す必要があるのだろうか。少子化に伴って日本の人口が減少し経済成長も望まないのならば外国人労働者を受け入れる必要はないのではなかろうか。とはいってもわたしは外国人排斥思想を持っている訳ではない。人手が足りないから外国から労働力を受け容れるという安易な考えでは紛争の火種になりかねない(現実に起こっている)と思っているだけだ。今まで日本になかった存在を受け容れる事によってどの様な影響が現れるのかを十分見極めた上で将来に亘って継続可能な体制を作り上げることが何よりも大切なのである。 

 とは云っても、人口減少に伴って経済成長を望む必要はなくなるが国際競争力は落としてはならない。しかしこれは日本がどんな体制を取ろうが付いて廻る話ではある。これからは産業の質的転換に重点が置かれるだろう。生半可な転換では駄目だ。産業革命的な産業構造の転換をしないと日本は世界から取り残されるだろう。中立国になっても輸出入なしに日本の経済は成り立たないし今までの遣り方を踏襲してもジリ貧になるだけなのだ。だとしたらこれを機に日本の産業構造は云うに及ばず社会構造そのものを変えてみたらよい。これは日本の将来にとって避けては通れない重要なことだと思う。そしてそれを考えるのはわたし達だ。

 人口減少の話に戻る。今の日本では人口減少はデメリットと捉えられているが発想を変えればこれはメリットになり得る。今後は際限ない人口増加とそれに伴う際限のない経済成長を望まなくて良い。従って少子高齢化もそれほど問題にならなくなる。高度成長を望まないので労働力の不足は時間は掛かるかも知れないがいずれ解消する。これによって前出した労働力としての移民を受け入れる必要はなくなる。万事がこの様に好転する訳だ。大事なのはGDPや右肩上がりの経済成長ではない。変革を伴う質的転換なのだ。日本人は今までかなり無理をして来たしこれからもそうだろう。しかし考え方を変えればこれからは身の丈でスマートに生きていけるのだ。

菜の花と常念岳.jpg 

 日本人はそろそろ他力本願は止めよう。

 他に頼らず自己の生命を自らが守る、生存権を確保するといったことはとても重要だ。「他国に頼れば他国に引き摺られる」とは前回の記事でも今回の記事でも述べたことだが他国に依存していては真の独立国家とはいえないだろう。

 ちなみに日本と同規模の国土面積を持つUK(いわゆる英国、正式にはグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国=ユナイテッド・キングダム)の人口は6300万人あまり。同程度の国土とあまり変わらない文化水準を持つUKの総人口が正常な状態だとしたら日本の人口はその二倍だ。つまり今が異常な状態なのだ。であるとしたら人口減少も致し方なし。わたしの記憶が正しければ、大体明治維新前後の日本が5000万人前後といわれておりその当時の人口と1000万人ほどしか変わらない水準だ。日本の人口がこのくらいに落ち着くと生活の質はかなり向上する筈。政府が試算している日本の人口が将来1億人程度に落ち着くという見通しでは国民一人ひとりが豊かになることは出来ない。しかし今の二分の一の人口というと不安になる方もいらっしゃるだろう。しかし国土面積に比べた総人口と年齢構成(理想はピラミッド型)が適正にならないと日本が真に豊かになることは不可能だ。

 という訳で、色々考えると日本の進むべき道は永世中立国になって自立の道を歩むのが最良の選択と思われる。その過程でより良い道を自分達が掴み取るしかないのだと思う。確かに永世中立国以外の選択肢は多く存在するだろうが安全保障だけでなく生活の質まで向上させ日本人一人ひとりが豊かになるにはこれを前提にして動いて行くのが一番であるとわたしは考えている。

 ただ、冒頭に述べた様に実現までのハードルは非常に高いのも事実。しかし、スケジュールをきちんと決めてそれに向かってひとつひとつ障壁となる問題をクリアしていけば実現可能な近未来だ。その準備期間が10年なのだ。ええ、過ぎてしまえば「ほんのひとむかし」です。

 ハードルが高いと云ったが実現を阻む一番の障壁は中国や韓国ではない。他ならぬ米国が日本が永世中立国なることを承認しないだろう。日本はアジアにおける米国の橋頭堡だから絶対手放したくないだろう。しかし何事も不可能ということはない。方策はあるのだ。

 その前に、日本にとってその道を選ぶことが如何に重要なことであるかを具体的に述べていこうと思う。そうしないと皆さんに

 「バカいってんじゃねぇよ~」

 てな感じで叱られてしまうでしょうから(笑)

 

 実のところ戦後になって日本の永世中立国化が議論されたり話し合われたことは過去三度あります。ですからわたしが初めて唱えた訳ではありません。まあ、この案が頭に浮かび色々調べたら過去に同じ考え(日本の永世中立国化)を持った人達がいたことや、日本以外でそれを望んだ国家があったとを知った訳ですが、かのダグラス・マッカーサーも実は日本が永世中立国になるのを望んだ発言を1949年にしています。ですから殊更突出した荒唐無稽な案ではないのです。些かニュアンスが違いますが隆盛なりし頃の旧社会党も戦争放棄・非武装・非核をキーワードに真剣に日本の中立国化を論じていました。つまり日本を永世中立国化しようという議論はごく普通にされていた訳です。しかし巨大与党の前に現実味がないとの理由で潰されていたのです。本当は米国の庇護から外れるのを恐れていただけなのです。当時は東西冷戦時代でソ連(現ロシア)の脅威が明確でしたからね。

 しかしそのソ連でさえ過去二度にわたり日本を永世中立化してはどうかと提案したことがあるのをご存知でしょうか? それは終戦直後と1963年頃の事です。ですから現在のロシアが日本の最初の中立条約締結国になる可能性はゼロではないのです。ウクライナなどで色々取り沙汰されているロシアではありますがプーチン大統領は北方領土問題だけではなくあらゆる面で日本の将来を握るキーマンであるとわたしは考えています。少なくともオバマよりは日本にとって有用な人物でしょう。過去において日ソ不可侵条約を一方的に破棄して北方領土を侵略したからといってまた同じ轍を現在のロシアが踏むとは限らないのです。その破棄だとてトルーマンが密約で千島列島と北海道を与える約束をしたからでありそんな密約がなかったら北方領土問題そのものが存在していなかったかも知れないのです。ソ連が国名をロシアに変えてもグローバル化によって地球は小さくなっているので昔のような蛮行は許されなくなって来ています。クリミヤ半島併合はロシアの領土だったという歴史的背景がありますからそれなりの理屈は付けられますが現代社会では国際条約を無視して好き勝手に振る舞う様な訳には行かないのです。その事を知らないロシアではないでしょうし日本の中立化を現在のロシアが支援することは十分にありえることなのです。現在のロシアの国益にも適いますからね。 

 そしてこれが一番の要点なのですが日本には永世中立国になる大義名分があるのです。明治維新以来の日本が富国強兵や軍国主義であった事とその反省から生まれた平和憲法がそれを可能にしているのです。過去の負の遺産がむしろ日本の永世中立国化を可能たらしめているのです。云わなくても分かりますよね。

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 唐突ではありますが少し長くなってしまったので今回はここまでです。

 日本の永世中立国化の話題は次回に続くかも知れませんし次回はもうないかも知れません。実のところわたしは大きな転換点に立っておりましてブログに費やす時間は限られています。現実にブログの更新は今日以外出来ないのです。

 そして次の更新がいつになるのかはお約束はできません。次回皆様にご報告するのは日本からじゃないかも知れませんしね。

 ではでは皆様ごきげんよう。また会う日まで・・・。

  

 


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コメント 24

旅爺さん

これ全部読んでたら墨田の花火終わっちゃうよ~!”
「バカいってんじゃねぇよ~」 な~んて思わないでね。笑
by 旅爺さん (2014-07-26 18:34) 

侘び助

コメント書いてみましたが、老いの戯言?消してしまいました。
(難しいです・・・ね)
by 侘び助 (2014-07-26 21:41) 

hatumi30331

この日本が好きです。
もっと良い国になって欲しい!
願って止まない一人です。
by hatumi30331 (2014-07-27 13:29) 

ja1nuh

こんにちは ご訪問有難うございます。
私見ですが 集団的自衛権の前に自国を自分で守れるようにするのが先だと思うのですが。
by ja1nuh (2014-07-27 14:22) 

silverag

まあ、何処に行ってもネットはつながります
また会う日が、さほど遠くない事を願ってますよ
by silverag (2014-07-27 19:29) 

駅員3

色々思うところがありますが、いまより少しでもよりよい社会を子供たちに残してやりたい・・・それが一番の思いです。

大正、あるいは昭和初期に建てられたであろう「長野県」の境界標に興味津々です。
by 駅員3 (2014-07-28 07:32) 

yakko

お早うございます。
お久しぶりです。ご無沙汰しておりましたが
二人 なんとか元気で暮らしております。(_ _)
by yakko (2014-07-28 09:17) 

U3

☆旅爺さんへ
 あは、隅田川花火大会のほうが見ていて面白いよね~!
by U3 (2014-07-28 14:04) 

U3

☆侘び助さんへ
 お消しになられたコメント見たかったです。
by U3 (2014-07-28 14:12) 

U3

☆hatumi30331さんへ
 わたしも日本が好きです。
ですから海外逃避はいたしません。
by U3 (2014-07-28 14:15) 

U3

☆ja1nuhさんへ
 今のままの国体で単独の自衛は難しいでしょう。
by U3 (2014-07-28 14:17) 

U3

☆silveragさんへ
 八月半ばには復帰する鴨カモ~ン。
by U3 (2014-07-28 14:19) 

U3

☆駅員3さんへ
 安曇野から大町に向かって山麓線という道を通ると松川村のあたりで見掛けることが出来ますよ。
by U3 (2014-07-28 14:22) 

なかちゃん

永世中立国化…いいじゃないですか ^^
ボクも賛成に一票を投じたいですね (^^)

by なかちゃん (2014-07-28 15:45) 

XPERIA

おはようございます。
訪問&niceありがとうございます。
by XPERIA (2014-07-29 06:28) 

U3

スコットランド ナウ!
by U3 (2014-07-30 23:49) 

U3

スコットランド インバネス ナウ
by U3 (2014-08-01 02:36) 

morichan

まずは、気にすることが
大事なのかもしれませんね。
by morichan (2014-08-02 21:56) 

keykun

こんにちは。^^
くろべこ? ^^)
黒い牛さん~デハナカッタ!!ですね。
愉しませて貰ってます。^^) 

アリガトウゴザイマス。^^)v

by keykun (2014-08-04 11:11) 

たいへー

原発海外に売ってちゃ、だめだよなぁ・・・
by たいへー (2014-08-05 07:36) 

U3

皆様へ
今日帰って来いました。
by U3 (2014-08-15 12:52) 

U3

皆様へ
今日帰って来ました。
(「来」と「ま」の間に「い」が入っていたので訂正します)
by U3 (2014-08-15 12:52)
by U3 (2014-08-15 21:35) 

ojioji

きちんと読めておりませんが、
大筋、思いを同じうするところが多い気がしました。
U3さまのように緻密に考えられては降りませんが。
私も、拙ブログで永世中立国スイスを例に、今の国民の意識の薄さというか覚悟の低さをもどかしく思っておりました。
by ojioji (2015-08-22 20:54) 

ojioji

きちんと読みました(^_^;)
自分の国は自分で守るための永世中立、適正人口社会、常々思い表明してきたことと同じ考えがもっと緻密に展開されていて、気味がわるいような(^_^)嬉しいような。
九条についてだけ異なっていて、自衛力は保持できることを明確にするほうが良いと思っていたのですが、こだわりは全然無くて、今のように賛否議論されている状態がいちばん平和かななどと漠然と思っておりました。U3さまの意見を読んで、なるほど、永世中立化するには現状の九条のほうが好都合なのかと思えるようになりました。ぼくの消極的今のままより、積極的な意義が認められるなあと。自衛力は既に保持しているわけだから問題無し。
by ojioji (2015-08-23 09:36) 

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