SSブログ

奢れるものは久しからず [まじめなおはなし]

阿亀.jpg


 三つ前の記事のタイトルは『昨年の2月から我々国民はずっと欺され続けていたのだろうか』だったが、実のところ、そんなことをわたしは露ほども思っていない。国民の過半は暗愚の道を自らの意志で選んだと思っている。

 昨年の総選挙で、国民の過半は政権与党の口車に乗った。
 この政権の危うさの根幹ともいえる森友加計問題に目を瞑り、ポピュリズム政策に踊らされたのだ。そしてまんまと安倍政権の思惑通り森友加計問題から国民の眼を逸らさせるのに成功した。国民の大半が、本質的な政権の問題に背を向け、北朝鮮の脅威を煽っての改憲問題や、少子高齢化問題の解決や、経済の活性化という公約を鵜呑みにしてしまったのだ。
 まさに
安倍政権の思う壺だ。しかも総選挙は自民圧勝という民意のオマケつきだ。神妙な顔をしていたが内心はさぞほくそ笑んでいたことだろう。だとしたら、それに気づかなかった国民の過半も確信犯だし同罪だといえよう。
 言い訳は通じない。その時に事実が隠されて国民に知らされていなかったからというのは一切理由にならないのだ。野党がだらしなかったというのも理由にはならない。あの時わたしは云ったはずだ。今の状況を解決するには自公以外に投票するという選択肢を選ぶべきだと。
 現実に、森友加計問題で何かが隠されたままだという疑念を持ち続けた者は、周りが「もういい加減にして現実に眼を向けたら」という雰囲気の中でも、現政権の情報操作やプロパガンダに乗った危うい風潮に流されず、あの混迷を極めた総選挙で政権政党に「NO」を突き付けたのだから。
 だが一方では国民の過半がこのあからさまなポピュリズム政権に不信感を抱かなかった。国民が選んだ代議員がいる国会の審議を経ずして閣議で勝手に決めてしまったり、違法の疑いの強い法案を次々と強行採決したにも関わらずにだ。浅慮にも目先の餌に飛びついてしまった格好だ。野党に入れてもなあと自公に投票した人もこれは同様なのだ。何しろ、安倍政権の本質な危険性に目を瞑ってしまったのだから。
 その先に待ち構えている暗黒の世界を想像すらできない愚かさ、法を軽視する現政権を是認する麻痺した感覚がわたしには到底理解できない。言い方は悪いが、選挙公約という眼の前の餌しか興味がなかったとしたら、あの時自民党に投票した国民の過半は、飼い慣らされたペットと何ひとつ変わらない。というよりもペット以下だ。選挙を棄権した者もまた同様である。
 こんな事を書けばわたしに批判されている人達にとっては逆効果だという人もいるだろう。そしてそれは現実だとわたしも思う。だが云わずにいられない。
 その結果、憲法9条を改正する動きが早まってしまった。これが何を意味するのか本気で考えたことはあるのだろうか。歴史を顧みれば日本が関係した戦争で結果が悲惨でなかった例しは唯の一つもない。そもそも戦争とは、不条理で人権も人命も蹂躙され、唯々人が大量に殺戮されていくものだ。その中に自分が含まれないという保証は何処にもない。
 北朝鮮を例に挙げる。「この半島や日本上空でもし不慮の事態が発生しても大丈夫、あっという間に終結するさ」などという幻想を抱くのは愚か者以外の何ものでもない。ミサイルの応酬があろうがなかろうが、迎撃システムが作動しようがしまいが一旦戦闘行為が始まれば北朝鮮もアメリカも一歩も引かない。韓国はいうに及ばず中国や日本もそれぞれの思惑の中で参戦するだろう。ロシアに至っては未だシリアを支援している様に間違いなく北朝鮮を支援し軍事介入する。そうなれば確実に死者は増えるし、日米韓が北朝鮮に進駐して殲滅戦をしない限り戦争は絶対に終結しない。しかも
中国とロシアが参戦すればそれもほぼ不可能となる。
 そしてその間も多くの戦闘員とそれぞれの国の民が虫けらのように殺されていくのだ。湾岸戦争のように短期間で戦争が終結するなどというのは幻想であり絵に描いた餅だ。湾岸戦争の様に日本を多国籍軍が守ってくれることもない。
 だからこそ、戦争や戦闘行為はどんなことがあっても回避しなければならないのだ。そしてその解決策が、アメリカの核の傘に頼ったり、ミサイル迎撃システムの拡充や軍備増強にあるとは到底思えない。ましてや憲法9条改正などであり得る訳がない。
 であるならば、戦争礼賛はその真の恐ろしさを知らない愚か者の結論だ。
 幾ら警鐘をならそうともそれに気づかぬ暗愚な人達。だからわたしはソネブロで記事を書くのを止めたのだ。スペインから帰って来て日本の現状に大いに失望した。日本という国とその国民にね。余りにも傍観者が多過ぎた。これが<よそごと>かね・・・と当時は思ったものだ。

 前回、責任の取り方について言及したが、その点から云えば、自民党と安倍総理の責任は極めて重いと云わざるを得ない。先の総選挙で安倍政権と自民党は森友加計問題はもはや過去の問題として争点にも挙げず、数々の不安材料を挙げ国民の不安を必要以上に煽った。その上で目先の問題を国民に提示して、自らの延命工作を図ったのが先の総選挙が実施された真の理由だ。決して国民の安全の確保や将来不安を取り除くためではない。そんな良心や高邁な思想などこの政権にはない。国民の過半も薄々それに気づいていた筈である。
 わたしは思うのだが「国民の批判を真摯に受け止め、これからも丁寧な説明をしていく」という安倍総理の言葉は一度でも実行に移されたことがあるだろうか。この言葉は森友加計問題の遙か以前、集団的自衛権の閣議決定の頃から、同一人物の口から事ある毎に云われ続けたが、これからへったくれもない。何しろ一度もその言葉が実行に移されたことはないのだから。これこそ言行不一致の極みであると云えよう。それが証拠に未だ安倍総理もその政権の閣僚もはたまた自民党も国民や野党の批判に真摯に向き合ってはいない。安倍総理に至っては今回この問題を取り上げた朝日新聞をこき下ろしてもいる。これが「国民の批判を真摯に受け止め、これからも丁寧な説明をしていく」と明言したこの国の総理大臣の正体である。朝日新聞とて国民を形成する一員であり安倍自民党のいう(時代錯誤も甚だしい)非国民でも国賊新聞でもない。そもそもこの政権の体質は何なのだろう。時代錯誤な感覚は独特だ。なにしろ前回の選挙では「国難選挙」というスローガンを掲げたのだ。「えっ、一体いつの時代の話だよ」と思った人はけして少なくないはずだ。それに違和感を覚えない鈍感な人達の気が知れない。

 危機感の欠如は現代日本人の特質なのだろうか。言って置くが北朝鮮は本質的な危機ではない。時の政権に洗脳され、日本人の良心や良識が麻痺してしまうことが一番の危機なのだ。そう国際社会からレッテルを貼られたら日本人はこの国際社会の中で生きていけない。憲法前文はそれこそ形骸化してしまう。

 話を元に戻そう。この様に、安倍晋三という奇態な政治家は総選挙での圧勝を背景に奢り昂ぶった訳だ。殊勝な態度を装いながら、ほくそ笑むという言葉はこの男のためにあるといっても過言ではない。今では言葉遣いも態度も以前の不遜さに限りなく近づいて来ている。そして自分に敵対したり批判する者を貶めることはもはやあからさまである。声を荒げて恫喝と思える発言をすることもあった。特に昭恵夫人を擁護する時は顕著だ。
 昭恵問題を取り上げた朝日新聞に対するそれは殊に露骨であった。しかし、まさにその朝日新聞に安倍総理は足許を掬われたのだ。自らのブログで「証拠も何もない戯れ事」と揶揄しながら、現実にはそれは事実だった訳だ。それでも未だ朝日新聞に謝罪しようともしない。
 過去の朝日新聞は森友・加計問題を究明できなかったが、今となっては間違ったことをした訳ではないことは明らかだ。証拠もないと批判され謝れとまで安倍総理に言われても尚、真実を探求しようという姿勢は崩さなかったように思う。わたしは朝日新聞を購読していないし、全面的に朝日新聞を信用している訳でもないが、正しい情報を集めそれを報道をするのがジャーナリズムの本質であるとすれば、偏向報道とかフェイクニュースだと揶揄され、総理や右寄りの人達や日和見主義の国民から、幾多の誹謗中傷があったにも関わらず、初志貫徹で真相究明を怠らなかった朝日新聞は、それ相応の賞賛と評価を得て然るべきであろう。過去に朝日新聞は右翼の襲撃を受けて死者まで出している。そして安倍晋三という奇態で不可思議な政権によって恣意的に貶められている。一部の右傾化した国民はそれに同調さえしている。そして現政権の首班は日本最大の右翼団体の構成員である。
 わたしは右翼も左翼も極端に走れば危ういと思っている。しかし、その主張が正しいと思える場合は支持をするのに何ら憚らない。現実には殆どそのような選択と支持をすることはないし、一つのことに拘泥し考えることを放棄するのは愚の骨頂だと思っている。大事なのは真実を見極める自分の目であり、危うさを察知するアンテナを張り巡らすことであり、正誤を見極める感覚であり、判断を過たないバランス感覚である。
 憲法改正は間違いであるというわたしの主張は揺るぎない。戦争は「必要悪」ではなく『絶対悪』だ。北朝鮮の脅威を理由に改憲を容認したり、自民党とその連立与党を支持するのは明らかな間違いだ。この問題に相対的見識は必要ない。絶対的不戦論こそ正論である。真に国を守るのは兵力ではなく外交だという信念は揺るぎない。

 ところで先に国民の過半との対比でペットを引き合いに出したが、わたしはペット、特に犬は誠実だという思いを抱いている。社会化がなされた犬は争いごとも嫌う。思えば今は亡き武羅運(ブラウン)は、夫婦喧嘩をすると必ず二人の間に入り吠えて仲裁に入ったものだ。それで喧嘩を止めたことは数知れず。社会化の出来た生き物は賢い。その点人間は未だ争いを止めようとはせず、愚かさを脱しきれない悲しい生き物だ。そのことに早く気づいて欲しい。
 争いは否定するが、しかし同時に警鐘も鳴らしておこう。和を求めることは正しい道だと思う。だが意見や考えの一致を求めるに拙速であってはならない。自分達と考えが違う者を断じたり、批判に終始したり、無視することの危うさを推して知るべし。感情的で異論に耳を傾けない者は頑迷の誹りを免れない。暗愚そのものだ。一方、自分の出来る事から遣るという考えには賛同するが、声高にそれを主張するのは否定する。だから国会前に行ってデモに参加しようなどとは思わない。デモを否定はしないが、ヒステリックな行動はわたしの性に合わないのだ。怒りの発露だけで問題が解決するとは思えない。ただ反対するだけで、私達が行き着く先を示せない主張は余りにも無責任だと思う。感情論でものごとが解決した例しはない。だとしたら
人々は知るべきだ。和平に近道はないと。


 わたしは希望をまだ捨ててはいない。解決策は必ずある。



 政権与党の口車に乗り、正論が通らない世の中を国民自らが作ってはいけない。


 奢れるものは久しからず。


 安倍内閣は総辞職しかもはや道はない。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 明日は一連のブログ記事更新の最終日となります。少なからず考えさせられる話と、ちょっと泣ける話を織り交ぜてみました。いつも周りに緊張感を与えてしまうわたしですが、そうした普段のわたしから少し肩の力を抜いて書いてみました。 



nice!(60)  コメント(3) 

nice! 60

コメント 3

cheese999

総辞職しそうにありませんね。それどころか、改憲まっしぐら(^_0)ノ
by cheese999 (2018-03-25 06:40) 

U3

☆cheese999さんへ
 ご心配なく。北朝鮮問題でウルトラCの寝技でもしない限り、安倍総理では政局も国会も改憲も乗り切れません。思慮が足りず、大事な局面で感情を抑えられずに、いつも襤褸を出す安倍総理ではそんな芸当も出来はしません。その点小泉元首相の方がしたたかで国民の気持ちを掴むのは旨かった。
 総辞職をしなくても九月の自民総裁選まで現政権は保ちません。予言しておきます。
by U3 (2018-03-25 13:56) 

cheese999

予言が当たることを祈ります(^_0)ノ
by cheese999 (2018-03-26 10:26) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。